『リトル・フォレスト』のあらすじ
『魔女』や『海獣の子供』で知られる漫画家・五十嵐大介さんの『リトル・フォレスト』を実写化した映画だよ
舞台は東北のある村の中にある小さな集落「小森」。近くにスーパーもなく、山や沢に囲まれたかなりの田舎です。
ストーリーは、半自給自足生活を送る主人公のいち子(橋本愛)が、村の人や幼馴染と関わり、そして自分と向き合う中で成長する姿が描かれています。
本作は「夏編・秋編」「冬編・春編」の2部構成。
文字通り春夏秋冬それぞれの季節ごとに物語が進んでいき、美しい自然をたっぷり堪能できる作品です。
岩手県の奥州市衣川をはじめとする東北地方で、1年かけてロケを行ったんだって
この作品のメインとなるシーンは、いち子が稲や作物を育ててそれを収穫し、それらを手間暇かけて丁寧に調理し、食べる、そして生きる、というシンプルなもの。
季節の野菜や木の実を使った数々のお料理もみどころ♪
これらのお料理は、料理研究家の野村友里さん率いる「eatrip」チームのディレクションにより、原作に登場するメニューが忠実に再現されています。
いち子の成長と共に、美しい自然、田舎の暮らし、そして数多く登場する季節の料理を楽しめる作品です。
『リトル・フォレスト』の感想
リトル・フォレストは、定期的に見たくなる個人的に大好きな作品。
その魅力をここでは3点ご紹介します。
美しい自然と世界観に癒される
なんか疲れたな~、なんにも考えず何か観たいな~というときに、観たくなるのがこの映画。
まず序盤から終盤まで、美しい自然の映像がたっぷり映るので、単純にとても癒されます。
それも観光地のようにきれいに整えられた自然ではなく、地味さ、そして厳しさがあるリアルな田舎の自然。
筆者自身、ド田舎で生まれ育ったので懐かしさもあります。
それから大きく動いていくストーリーはなく、セリフも少な目で淡々としているので、ただただ映像を楽しんで静かに観れるんです。
ボーっとしたいとき、何も考えたくないときって、ハラハラしたりすごく悲しかったり、感情が動かされる作品を観る気力がなかったりします。
そしてそんな時は、ストーリーを楽しみたいというより、美しい映像や世界観に浸りたいという気持ちになるので、この作品がぴったりなのです。
「生きる」ってこういうこと。丁寧な暮らしがとても素敵
おばあちゃんの知恵袋みたいな昔からの知恵と工夫を生かした生活。そして手間暇かけて作る料理がたくさん登場しますが、この丁寧な暮らしがとても素敵なんです。
例えば、クルミご飯を作るシーンはこんな感じだったよ。
山でクルミを拾ってきて、それを一度土に埋める。
クルミが腐ったら洗い、干しておく。
それから殻を一つひとつ金づちで割って小さな殻まで手作業で取り除く。
最後に実をすり鉢でペースト状につぶして、米と一緒に調味して炊き上げる。
勿論、お米だっていち子が稲を育ててそれを収穫し育てたものです。
調理の前から既にお料理が始まっているんですよね。とにかく口にするまでにとんでもなく手間暇かかっています。
スーパーで食材を手に入れて調理するだけの筆者からすると、気が遠くなりそうな作業。
他にも、薪を拾ってきて薪割をして、ストーブに使ったり。
食べること以外にも手間暇かかっているよ。
便利な現代の暮らしが送れている私たちからしたら、とても不便で実際こんな生活をするのは難しいとは思います。
でもこれが「生きる」ということなんだなと、とても素敵に感じます。
”当たり前”に感謝できるようになる
映画の中では、合鴨農法で使われていたカモをいち子が自分で絞めて解体し、お料理して食べるシーンがあります。
【合鴨農法】
アイガモを田に放ち、雑草や農業害虫を食べさせて駆除することによる有機農業
そして場面は異なりますが、いち子の幼馴染・ユウ太が言ったこんなセリフ
「他人に殺させといて、殺し方に文句をつけるようなそんな人生は送りたくないと思った。」
このセリフとも相まって、考えさせられるものがありました。
スーパーで食材を買って調理するだけだと、ついそのありがたみを忘れてしまいがちだよね。
この映画を観ることで、文字通り「命をいただいている」ことを改めて心から感謝するようになりました。
それから改めて、食べ物が自分の口に入るまでに、たくさんの人のお世話になっていることに気づくね。
作ってくださった人、運送してくださった人、スーパーの人、もし誰かが料理をしてくれたのならその人。と、関わっている全ての人に感謝だなと改めて思います。
そんな大切なことを改めて思い出させてくれる作品でもあります。
特に都会の生活に疲れちゃったななんていう人は、リトル・フォレストの穏やかな世界観と、美しい自然に癒されてみてください。